髑髏城の七人が好きだ
「豊洲に新しい劇場ができる。しかも、その劇場は客席が360度回転するらしい。」というニュースを聞いたときから、そんな面白そうな劇場、一度偵察に行かなければな!!と思っていました!
そして建った劇場"IHI ステージアラウンド東京"。
「杮落しが劇団☆新感線のロングラン公演」、「『髑髏城の七人』という演目を花鳥風月の4シーズンに渡り、キャストを変え、脚本・演出をアレンジして上演する」(しかも劇場は長期運営ではなく早々に潰す構想…)と耳に入れば、こんなド派手でおもしろそうな公演は早々に見に行かねばならぬ…とも思っていたのですが、新しいことや派手なことが好きな新感線さんが、旗揚げ40周年を目前にして初ライブビューイングなんてものもやってくれたので、花・鳥・風は映画館で見て、月でようやく劇場に行ってきました!!
蓋を開ければ花鳥風月の後にSeason極なんてものもあったのですが、ひとまず、花鳥風月を見たということで、それぞれの公演の感想を書いておこうかなと。
「髑髏城の七人」について簡単に説明させていただくと…
劇団新感線が複数回に渡り公演している人気の舞台作品。
- 初演(1990年)
- 再演(1997年)
- アカドクロ(2004年)
- アオドクロ(2004年)
- ワカドクロ(2011年)
- Season花・鳥・風・月・極「修羅天魔」(2017~2018年)
↑この一番最近の花・鳥・風・月の話を今からします!!
〈あらすじのようなもの〉
明智光秀の謀反により織田信長が本能寺で討死してから8年の月日が流れた天正18年。
いまだ豊臣秀吉の支配が及ばない関東荒野は、天魔王と呼ばれる男の率いる「関東髑髏党」が制圧していた。
髑髏党に追われる少女・沙霧を助けた主人公・捨之介は…。
みたいな感じです!!
織田信長という「天」に人生をひっかきまわされた人達の生きざま、死にざま。
とにかく格好いい人たちがたくさん出てきて、格好いいことをしたり、笑わせてきたり、泣かせてきたり、美しかったり、泥臭かったりする話です。
感想というかほぼメモです。
最初は「うわーかっこいいー興奮する~!」という気持ちしかありませんので、徐々に意識が芽生えて物語を噛み締めだし、さらにドツボにはまり頭がおかしくなる過程をお楽しみください。
早く花を見返させてほしい。
Season花
私はこの公演で「髑髏城の七人」という作品を初めて見たのですが、もうとにかく格好よくて、好きすぎてどうしよう。どうしよう興奮する…。と思いながら一人で帰ってきました…。(得意のお一人様)
こんなにいちいち格好よくていいのか…?
捨之介の登場から名乗り(バックに「髑髏城の七人」)でつかみはバッチリだし、極楽太夫の顔見せから無界屋でのあれこれは美しく痛快だし、蘭兵衛さんの登場は口が開きっぱしになるほど鮮烈だし、天魔王の「髑髏城で待っている!!」の痺れる悪役感、贋鉄斎の庵の場面は自由すぎてずっと笑っていられるし、一幕最後の黄泉の笛と花畑~うわ~~破滅的美しさ~~~!!二幕はじまってすぐに夢見酒のシーンは倒錯的で官能的。無界屋襲撃は衝撃の残酷さ凄惨さだし、髑髏城殴り込み前の決起場面はめちゃくちゃアツくてめちゃくちゃ泣けるし、髑髏城乗り込んでからはそれぞれのキャラクターの見せ場しかなく…百人斬りはバカみたいにテンションが上がる…最後の決闘からの髑髏城脱出~七人のシルエットはお見事としか…って感じなのにまだ最後にそれぞれの旅立ちまで見せてくれるんです!?
あと、かなり衝撃を受けたのがカーテンコール。
客席が360度回転するという特殊な舞台機構上、舞台はもちろん360度あって、場面転換という概念がないため、場面場面の舞台装置が最後まで存在していることになりますから、カーテンコールで登場人物それぞれに、それぞれの場所を用意してあげられる…こんな素敵なカーテンコールがあるなんて!!(これは物語ではなく、劇場機構に興奮している)
鳥・風・月と順番に見て、花に立ち返ったときに感じるのは、花はバランス型のアプローチで安心感があったなぁと。
色彩は少な目でシンプルに格好よく、わかりやすい。
このロングラン公演の先陣として抜群の仕事をしていたし、また、その中でも成河さんの天魔王は強めのスパイスだったのかなぁ。
如何せん個人的に忙しい時期でくたくたになりながらライブビューイングを見ている上に、次々に鳥風月と見てしまっているので、はじめての髑髏城はとんでもなく格好よくて衝撃的に好きすぎた以外の感想があまり残っていないのが残念です…。
以下役者さん・登場人物について
🌸捨之介(小栗旬さん)
地の者?地に潜って活動していただと…?嘘だろ。華やかすぎてみんなが放っておかねーよ…。
真ん中に立ってしっくりくるオーラはすごいな。小栗旬さんがカーテンコールでニコッて笑うだけで世界がきれいなんて。そしてあんなにかっこよく見得が切れるなんて100点…生まれてきてくれてありがとう…。
百人斬り超楽しかったかっこよかったよ。
🌸天魔王(成河さん)
めっちゃ良い異形の悪役だったぁ…。
蘭兵衛に「兄者ぁ」ってすり寄っていくのが狡猾でたまらない!顔の痕も良いキャラクター設定だった…。台詞が流れるようで聞き取りやすくてすごくよかった。
捨之介がめちゃくちゃ嫌いで、兄者のことはかなり好きなのかな?まあ、兄者に対する好きもかなり歪んでいると思うけど。なんか楽しそうでよかったな花天魔王さま。
🌸無界屋蘭兵衛(山本耕史さん)
捨天蘭の中で一番歳上の蘭兵衛さんだったので、年齢的にも落ち着いているなぁという印象は間違ってないのだろうけど、落ち着いているというか、枯れ気味だったというか…。大人なだけに諦めにかなり傾いて、だけど見た目は平静でいられる不器用なところがあったのかな。
落ち着いているように見えたから、バキンッと折れてからの冷たさもまた別の温度を持っていたというか…。
他の蘭兵衛は、ついさっきまで蘭丸でしたよね?わかるわかる。という感じだったけど、山本蘭兵衛さんはしっかり8年間、蘭丸を殺しながら蘭兵衛として存在していたのだな…という感じ…色街無界屋の主人という役職がしっくりくる。
🌸沙霧(清野菜名さん)
私が見た髑髏城の中で、個人的には一番好きな沙霧です!!強い!声がすき!
最初、少年の役なのか…?と思った…(本当になにも事前に勉強していかなかったので)。衣裳も地味で露出が少なかったし。爽やかだよ。
これは天才だわ。才能だわ。本能で築城術の天才なんだろうなぁ。
この子が底抜けに純粋で真っ直ぐだから、小栗捨がめちゃくちゃ救われていたのだな…とワカを見てから改めてしみじみしました。
🌸極楽太夫(りょうさん)
涼やかであでやかだった~!
花は全体的に色彩を落とした雰囲気だったので、極楽太夫の纏う赤がめちゃくちゃきれいでした。
個人的に、花鳥風月と見た中で一番、蘭兵衛との関係に恋仲を感じていて(単純に二人の画になるビジュアルの問題かもしれませんが)、最後の「来い!太夫!!」からの蘭兵衛との場面がしんどかったで賞1位。
🌸兵庫(青木崇高さん)
すごく直向きで土臭かったなぁという印象がある。
花は本当に年齢のバランスがいいなぁ。人間関係がわかりやすい…。
磯平のお兄さんについてもここで書いておきますが、私がいつも、一番泣きそうになって歯を食い縛るのは、髑髏城殴り込み前に、この役の人が鎌を握りしめて走り出す場面なんですよね。一番戦いの遠くにいた人が恐怖もなにもかも押し潰してなけなしの勇気で走っていく…。わかってても毎回泣いてしまう…。しかもめっちゃ強くて兵庫とすてきな農具による殺陣を見せてくれるの爽快だし。
素直に髑髏城の「七人」って誰だ?と思いながら見ていたので、あんたなんかーい!!と思ってしまいました笑
沙霧とのやりとりがかわいすぎる。「裏切り」キャラめちゃくちゃおいしいやないか。すき…ってなりました…。河野まさとさんのスコーンッとした声がいい。あっけらかんとしていて、憎めないしかわいいんだ。
🌸狸穴二郎衛門(近藤芳正さん)
若者に夢中であんまり覚えてないんですよね…
「伊賀の頭領はっとりはんぞー!!」で笑った覚えはある…。
この時代で貍のつく変な名前なら…と、名前でだいたいピンとくる部分はあったなあ!おたくだなあ!!
🌸贋鉄斎(古田新太さん)
何もかもがずるい。出てくるだけで笑いがおきる。さすがの看板役者古田新太…。マサコ…ミッチー…。
百人斬れる刀なんて無理。ひとつだけ方法があるとすれば「斬るたびに研ぐ!突くたびに打ち直す!!」っていうギャグみたいなセリフを、見せ場で回収するのすごくない?ローラースケートで滑りながら捨之介の刀を研ぎ研ぎしている贋鉄斎に気づいた時から口が開きっぱなし。
そういえば、私が見たライブビューイング回は百人斬りでミスがあったような?すぐさま立て直していたのですごいと思った。
Season鳥
変わり種のカウンター攻撃!!という印象の鳥。
キービジュアルがFINAL FANTASY。(天野喜孝画)
花が色彩が少なく極力シンプルなら、鳥は極彩色の減法混色で生まれたきれいな黒という感じ。黒装束の捨之介ですし(?)
大きな改変は、捨之介が「忍の者」という設定だということですかね。捨之介は白の着流しというのが代々キービジュアルだったので忍者の装束を纏った捨之介はかなり新しいビジュアルだったのだろう。
あとは、Perfumeの振付け師として有名なMIKIKO先生が振付けで参加されていたり、神田沙也加さんが挿入歌で参加されていたり、歌と踊りを盛り込んだ演出も特徴。役者も沙霧役の清水葉月さん以外は新感線経験者ですし。
新感線と付き合いのある色んな方を召集して、特にエンターテインメント方向に振った公演だったのかな。
以下役者さん・登場人物について
🐤捨之介(阿部サダヲさん)
サダヲさんなので、ふんだんにおふざけパートがあるのだけれど、基本的には闇ですよ。
スーパーヒーローでは決してなく、闇を抱えている。というか、「忍の者」なのだ。信長に仕える忍者であること以外のアイデンティティがない。ひとりぼっちで地を這い、血にまみれた闇なのだと思った。捨てるために永いあいだ持っていた命だ。
ただ、鳥公演はRPGなので(?)捨之介を囲むパーティメンバーが、全員で捨之介を支えてくれる感じがする。百人斬りも全員参加だし。
沙霧が、みんなが、この人の人生を覆った雲を払ってくれなければ、天魔王と刺し違えて死んでいたのではとは思う。
彼が、彼の人生を歩みだす旅立ちを最後に見れた気がしてうれしい。
🐤天魔王(森山未來さん)
イグザクトリー!!南蛮かぶれのエキセントリックな天魔王さまは歌って踊れるエンターテイナー。底知れないカリスマ性。
鳥公演ならではの天魔王さまでした。
衣裳も女王さまという感じで美しかったです。
森山未來さんってすごすぎて、すごいの感想しか残らないのすごい。表現者だなぁ。
地球儀ぐるぐる回すところかわいかった!ジパーング!
早乙女さんとの異次元高速殺陣にライビュカメラがついていけないのわろた。
🐤無界屋蘭兵衛(早乙女太一さん)
声がめちゃくちゃに好き。
お稽古から数えたら軽く100回を越えて、毎日毎日こんなに苛烈に美しく死んだのだな…と思ってしまったらもうたまらない気持ちになってしまった…。これは好きになってしまったと言わざるを得ない。
蘭兵衛はたくさんお着替えをしてくれるので眼福なのですが、鳥蘭さんは特に好みの衣裳ばかりでありがたい。ファッションリーダー…。
特に一幕終~夢見酒の白を基調とした着物が最高…私は白い衣裳がすきです…。白地に赤い彼岸花で裏地等のチラチラ見える部分に萌木色。しかも鳥蘭さんは髪が白銀なのでビジュアル全体が白くて美しい~!(下弦蘭さんの白×青×薄紫も大好き…というか蘭兵衛さんのあの場面の衣裳はみんな好き…だけど風蘭の着物は全然覚えてない)
美しすぎてこの世のものではなかった。
ひたすらに悲愴を背負って美しすぎてこの世のものではなかった優しい子。
🐤沙霧(清水葉月さん)
賢く柔らかな女の子。
花沙霧ちゃんが元気いっぱいで野山を駆け回っていた男の子みたいな子だったから、余計に鳥沙霧ちゃんは女の子~という風に感じられたのかな。スタイルがいいし、明らかに花よりも肌見せする衣裳だったし。
でも鳥捨さんには、このくらい賢くて聡くてぐいぐい引っ張ってくれる子がいい。
🐤極楽太夫(松雪泰子さん)
薄幸。という外見のイメージ。
儚げですが凛と強く美しかった~極楽太夫~~。群青や藍が好きなので、衣裳が最高。鳥公演は衣裳が大好き。
松雪さんってこんなにNGないんだな…いや、NGあるなんて思ったこともなかったんですか、歌ってくれるし踊ってくれるし、ハプニングで素で笑ってる姿はかわいらしいし…他の舞台も見たいです。
🐤兵庫(福田転球さん)
禿鬘がw歴代最年長?まさかのお前がおっとうなのかよ。太夫に大きなお子さんができてしまう。
花が初見の新規は、鳥でこんなにむちゃくちゃされてしまって、髑髏城の七人という物語の柔軟性と無限の可能性に気づかされました…。人物設定をここまでいじっても成立する上におもしろいし、更に期待しちゃうし。
そろばんが武器なんて、またすごい設定だな!と思ったのですが、そろばんキャラは粟根さんが過去に演じた蘭兵衛さんのセルフオマージュなんですねぇえええ!?
さすが劇団員の安定感。安定のうさんくさい。
この渡京・沙霧コンビは賢そうでかわいい。
🐤狸穴二郎衛門(梶原善さん)
すみませんあんまり覚えていないのですが、タヌキというよりキツネかな?
🐤贋鉄斎(池田成志さん)
サダ捨と相性が良すぎて、永遠に見て永遠に笑っていられるガンテツルームの茶番。ここは下北沢。
雷にうたれて何回も心肺停止しちゃうし、何回も阿部さんにハンマーで全力で殴られちゃう(心臓マッサージ)のかわいそうおもろい。ハンマー曲がってた。ありがとう最高の自由時間でした。
Season風
捨之介と天魔王を一人二役で演じるタイプの髑髏城は、風ではじめて見ました。
髑髏の七人という戯曲は、古田新太さんという劇団の看板役者のための戯曲なのだなぁと。これが本当の(?)髑髏城の七人…。
ここで捨之介と天魔王を任された松山ケンイチさんはすごいですよね。
以下の役者さん・登場人物について
🍃捨之介/天魔王(松山ケンイチさん)
個人的には花鳥風月の中で、戯曲から受けとる「捨之介」という人物像に一番フィットしていました。二枚目ではないけど愛嬌のあるフラフラと吹かれる根なし草。かっこよかった。
捨天一人二役のオリジナルバージョンも松山さんに合っていたように思う。一人二役の場合、捨天は織田信長の影武者(顔がそっくり)という設定になるのですが、風天は織田信長のトレースなのかな?と思いました。天魔王というよりは織田信長の印象がある。だから蘭兵衛は「殿の顔でキスすりゃ落ちる」と思われてる。捨之介にも殿のトレース部分がある(あった)から、同族嫌悪的なかたちで捨天は相容れない。
松山さんの過剰にならないふわりとした捨之介と、同じく過剰にならないどんとしたお殿さま(天魔王)から、この戯曲のおもしろさが存分に伝わった!
🍃無界屋蘭兵衛(向井理さん)
スタイルが異次元すぎてにやついてしまった。
他の方が風蘭について「情操が発達していない」と言われていたのですが、なるほど。綺麗で空っぽのお人形だ。
でも、風ではじめて、捨之介と蘭兵衛が普通に仲良く見えた…。気安さがみえたんだけどなぁ。
風の蘭兵衛さんはあまり殺陣が得意ではない。
そういえば、通常は登場場面で言う「野心に生きるは~粋じゃねぇよな」を、髑髏城に行く前の彼岸花ばたけで言っていたような…?置かれた状況の違いで、発する言葉の意味するニュアンスが変わるのがおもしろい。中島かずきさんはすごく頭が柔軟。
🍃沙霧(岸井ゆきのさん)
コロコロっとした小動物のようでとてもかわいらしかったです!
捨之介へのLOVEが顕著な沙霧ちゃんだったかなと。
花、鳥、風と順番に肌見せが激しくなるぞ。
鳥の沙霧ちゃんがお姉さんだったのに比べて幼くてかわいい。
🍃極楽太夫(田中麗奈さん)
チャキチャキでキャピキャピでキュートな極楽太夫。
強がり、というのを一番感じた太夫でした。とても頑張っていた。でもとても無力だった。
声に特徴があってかわいらしいです。
ピンクの透け素材の着物もお似合い!
🍃兵庫(山内圭哉さん)
えー!クールじゃないか!かっこいい!
馬鹿でアツくて一直線!!ではなくて頼れるクールな兄貴兵庫だった…落ち着いている。
風公演は、捨之介と兵庫と狸穴さんかドンと構えてくれていたし、どこか食えない…頭の切れる…という感じだったので、バランスをとるためなのか女子と蘭兵平衛さんがわりとふわふわとしていたり、守られ対象だったりするのかな。
お友だちのたぬきちゃんかわいいです!!!
🍃狸穴二郎衛門(生瀬勝久さん)
イケオジすぎないか?あまりにも狸穴のおじさまが格好よすぎてビビった。
生瀬さんが一番格好よかった…という感想を持ってしまいました。
捨天が一人二役で殿の影武者設定だと、そりゃあ家康さんとはこんな感じになるわな…。
風公演、全体的に男が一筋縄じゃいかないし、やっばり戯曲のおもしろさを感じる。
🍃贋鉄斎(橋本じゅんさん)
蕎麦屋のキリシタンで彼氏もちという…中島かずきさんの脳みそがすごい。
間違いない劇団員の安定感安心感。
ワンピース歌舞伎が好きすぎる人間でもあるので、毎日、猿之助さんガンバレー!ファーファーしてくれていたというのを聞いて涙目でした。じゅんさんありがとう。また森田剛くんともお芝居をしてほしい。
Season月
月は上弦・下弦ともに遠征して劇場で見たのですが、当然のようにライブビューイングも見ました…。
一番最近、生で見て、ライブビューイングも見ているのでたくさん書くよ。
花鳥風との大きな違いは、<上弦の月>と<下弦の月>という二つのチームで公演するということと、これまで沙霧という女の子だったキャラクターを霧丸という男の子に変更したということかな。
言わせてほしい。
なんでカーテンコールの彼岸花畑なくなったん…?
<上弦の月>
早乙女太一さん天魔王(白目)
って感じのキャスト発表じゃなかったですか?あまりに衝撃すぎて、しばらく須賀健太くんは霧丸だと思っていました!(?)
もっと爽やかでアツい感じになるのかな?と思っていたら、なんと無茶苦茶で不安定なんだ…と思いました。下弦のほうが纏まりがある。上弦はデコボコした感じがおもしろい。
以下役者さん・登場人物について
🌒捨之介(福士蒼汰さん)
歴代最年少の捨之介ということや、初舞台であるという初々しさもあったのかもしれませんが、福士さんの人間性がよく出ていた上でのかわいらしさがあったかなぁと。(V6が好きな人間なので、福士さんといえば岡田一門。岡田准一さんがかわいいかわいいと言って愛でている男の子のイメージになってしまっているのかもしれない)もちろん格好良かったのですが、なんかかわいかった…とも思ってしまう。
なので、福士捨の絶望はめちゃくちゃ堪える。
月の捨之介は「天魔王を殺すのではなく止める」と明確に言葉にします。だから、かつての仲間である蘭兵衛にも天魔王にも死なれてしまって、捨之介という人がめちゃくちゃに否定されてぐちゃぐちゃになってしまうんですよ…。そこで出てくるのが霧丸と新たに構築した絆なのですが。
「捨てるっていうのは簡単じゃない。」と、泣き笑うあの表情がたまらん。
🌒天魔王(早乙女太一さん)
守りたい…。はやく誰かよしよししてあげて!
早乙女天魔王は、捨之介との最後の決闘で、六天斬りで順番に天魔の鎧をはがれた後に、自分の両手で自分を抱き締めるし、その後に捨之介に刀を振り上げられたときに自分の頭を庇うじゃないですかぁああああ。下弦の鈴木天魔王はそんなことしないから。むしろあの人は斬れるものならと睨み付けるから。最後は赤子のような早乙女天魔王よ…。
殿が好きな蘭丸なんて嫌いだよー。殿が死んじゃったよー。捨之介も蘭平衛も言うこと聞いてくれないよー。嫌いだよーでも好きー。えーん。生駒ぁ。えーん。って感じ…。
この人の醸す雰囲気というのは独特ですごいな…。
なんか、早乙女太一さんもわりと死ぬ捕まる発狂するのスパイラルに存在しそう(森田剛くん)
🌒無界屋蘭兵衛(三浦翔平さん)
ヤンキーだ!!顔がかっこいい!声もかっこいい!!!舞台2回目!?本当かよ!?
基本的にあてがきなしの月公演で、中島かずきさんが三浦さんのために書いた「いい調子だな、髑髏党」からのセリフが似合いすぎて苦しい。ヤンキーだ。
あの聖子太夫が大事にした自慢の息子さん…という感じで二人のあいだに確かな信頼関係があったのだと思う。
兵庫のことをふざけてビンタするの笑った。みう蘭さんは兵庫のことをわりと気に入っているのかなと思いました。
系譜的には花蘭さんなのかな。強く見えてヒビが入ると早い。
「地獄におちた男を極楽に送ってあげる。だから極楽太夫」と、あの人と私でつけた名前だと太夫は言ってたけど、聖子太夫と三浦蘭の結び付きを見ていると、いつか自分がまた修羅になったら、というような話でもあったのだろうかなんて思ってしまう。特に月は、蘭兵衛さんと太夫の間に母子に近い年の差があるから、不安定な蘭丸とそんな話もしたかもしれないね。
上弦蘭・太夫は剛であり繊細。下弦蘭・太夫は柔らか。上弦蘭・太夫はセーラーマーズで、下弦蘭・太夫はセーラービーナス…(?)
🌒霧丸(平間壮一さん)
すぐ泣いちゃう男の子もかわいいよね。優しい子。
先に下弦の月を見たので、上弦の霧丸は大人だなぁと思いました。でも今思うと平間霧ちゃんのほうが揺れて不安定だったかなぁと。平間霧ちゃん本当に優しいからなぁ。
捨之介や太夫が霧丸に対して、未来のある若者であり、戦場ではなく創造の場を生きる場所とする霧丸を人殺しにさせまい、憎しみを募らせまいとするところがわかりやすく描かれているので、霧丸の成長はみんなの希望なんだよ~少年漫画…。
下弦と違って捨之介と年齢が近めなのでよき相棒感がある。支えあってほしい。
🌒極楽太夫(高田聖子さん)
月の太夫は、蘭兵衛が一人で行ってしまうだろうことには気づいてはいる。(寝返って無界屋を襲撃に来るとは思っていないだろうけど)
だから「たったひとつのまことだから 君のいきたいように」「覚悟はしていたけど」「君死にたもうなかれ」と歌うのだろう。
最後に蘭兵衛に向かって引き金を引く場面で、聖子太夫は蘭兵衛から目をそらすから、聖子太夫はとても優しく強く繊細な人。羽野太夫とはまた別の可憐さがある。
聖子太夫と三浦蘭は同志であって恋人ではないんだろうけど、太夫にとって蘭兵衛のああいう純粋でかたくなな部分は好ましく、願わくはそういうところが、本人の持ち合わせていた優しさと無界という場所で柔らかく成長してほしかったのではないか、なんて思う。
🌒兵庫(須賀健太さん)
子犬のような兵庫の旦那!若くてかわいい。
ぴょんぴょんバタバタと舞台上を駆け回り、シリアスとコミカルを行来するスピード感。
須賀兵庫と聖子太夫のために用意された最後のプロポーズのセリフがすごくすき。「あんたとあたしじゃ生きた時間が違いすぎる」と歳の差を理由にする太夫に、「俺は足なら速いんだ!すぐにあんたを追い越して、前からしっかり受け止める」みたいなことを言うんですが、その須賀兵庫の大きすぎる存在感と裏腹に、広げられた腕の細さよ…。
無界屋襲撃後の場面で、兵庫が子分である荒武者隊のみんなの亡骸に向かって「死んじゃやだ」ってめちゃくちゃ弱々しく言うじゃないですか。あれは須賀くんじゃなきゃできないなぁ。そのあと太夫に抱き寄せられて背中をさすってもらうのも須賀くんじゃなきゃ。あの細いむき出しの腕がめちゃくちゃつらい。子供みたい。
須賀くんが今の年齢で兵庫を演じてくれたことに感謝。
月の兵庫はきっと太夫より先に死なないから本当によかった。どっかの蘭と違って。
安心感あるわ…。一輪車と遠近法を無視した風車小屋…。
🌒狸穴二郎衛門(渡辺いっけいさん)
第一印象から決めてました!
お茶目な狸親父でしたね!ドンと構えたお殿さまではなくて、ゆらゆら揺れて人間臭いおじさまでした。
いっけいさんかわいい。
🌒贋鉄斎(市川しんぺーさん)
刀と花。雅や幽玄を愛する贋鉄斎さん。剣花道!イヤッイャッィヤアー!!!
年末に見たときは、少し物足りないかなぁと思ったのですが、他の方のレポやライビュを見た限り、福士捨に余裕ができて、この場面を楽しめるようになるまでは押さえていたのかな?と思いました。
月公演は、メインどころが若手で新感線初の方や、舞台経験が少ない方が多い分、他が劇団員だったり準劇団員だったりで固めてありますが、ベテランさんは総じて若者を優しく力強く支えていていいチームだなぁと思いました。
そういえば時期も時期なので月は出演者の休演なんかも何度かありましたが(しんぺーさんが下弦に行ったり千葉さんが上弦に来たり、無界屋ガールズも代役がんばってた!)、上弦・下弦で助け合えるのダブルチームだったからですよね。いいチームだなぁ。
<下弦の月>
まず、 このキャストが発表された時に、ついに来たな~~!と興奮してしまった。新しいものや話題になっているものが好きな新感線がついに2.5次元界隈に手を出したぞ、と。
下弦の月は、役者の一般知名度はきっと他に比べて高くはないのだろうけど、間違いないというか…安定感があるように感じます。うまく噛み合っているような。
以下役者さん・登場人物について
🌘捨之介(宮野真守さん)
声がいい…叫んでも呟いてもいちいち言葉が聞き取れるのがすごい。ストレスフリー。しかも声がかっこいいなんて。
六天斬りのときずっとはちゃめちゃに少年漫画のアニメを見てるみたいで興奮した…宮野真守ボイスに慣れ親しんでいたばかりに。「これで人間界だ」最高。
マモ捨、他人の頭をぽんぽん、よしよしするのずるくありません?あの声が頭をなでられる距離から聞こえるのずるくありません?霧ちゃんはいいけどさぁ、蘭兵衛にもするのよ頭ぽんぽん。
ところで、宮野さんが出演している舞台を拝見するのは「王家の紋章」に続いて2回目になるのですが、改めて、声優さんと俳優さんでは役に対する寄り添いかたが全然違うのだなぁと感じました。(個人ではなく職種の話です)
例えば「黒子のバスケ」で黒子役を、アニメでは声優、舞台では俳優としている小野賢章さんなんかはとてもわかりやすい。アニメと舞台でお芝居の仕方が違う。
最近では声優さんも顔を出してお仕事をされているのが普通ですが、それでも基本的に役者本人が見えにくく、声だけが視聴者に届く声優と、全身を使って役を表現する俳優では、後者のほうが役者さんのパーソナルな部分が役に反映されやすいと思う。
異なる技術の話になるので、優劣の話ではないです。
私は俳優・宮野真守さんがすきだなあ!宮野さんのパーソナルな部分が滲む捨之介がすごくすきだ。
表情豊かで明るくて大人でセクシーだ。本当に好き。圧倒的に正しい主人公。
蘭兵衛に「おまえにはわからんよ。」と言われてしまう捨之介は、「どうしてお前も蘭兵衛もわからないんだ。」って天魔王に叫ぶ。そして、霧丸は、「お前たちには捨之介のことはわからねーよ!」って天魔王と蘭兵衛に言う…マモ捨の思いは、天魔王にも蘭兵衛にも結局ひとつも理解されなくて届かなくてあまりにもしんどいんだけど、わかってほしい、生きてほしいと手を伸ばして足掻いたことは全然無駄じゃないよ。明日からも生きてくれ。それでも悲しいことや捨てない思いとか持ちきれないものは、松岡霧ちゃんにしっかり拾ってもらってくれよな…。
🌘天魔王(鈴木拡樹さん)
表情筋がすごい。痺れるほどに悪。
鈴木さんは個を消し去る天才だなと思っていて、それが天魔王という役に合っていたように思います。
天であろうとする「人の男」に憐れさを感じてしまった。もしかしたらそれこそが、鈴木さんという役者のパーソナルな部分に通じるのかもしれない。役に対する解釈力と、その解釈を完璧に体に降ろす能力。
多分、鈴木天魔王もそういう人なのではと。織田信長を解釈しまくってその体に降ろしているのでは。しかも本当の織田信長がどうだったかというよりも、彼の解釈した織田信長に執着してしまったのかな。
しかし、劇団員を除いて、髑髏城の七人という作品に最多で参加しているであろう早乙女太一さんと同役で、双方ここまでバラバラの天魔王像を作り上げていることがすごい。
🌘無界屋蘭兵衛(廣瀬智紀さん)
いやーもう好きなんで…。
廣瀬さんが好きな上に、あの綺麗な容姿を白と青で装飾されちゃったらもう視覚的に、負けた。すき。
柔らかく、美しく、愛されるこの人の、愛され力とそれに応える愛想のよさと気性の荒さ。すぐに物を投げるのやめなさい。
無界のみんなのことも、太夫のこともちゃんと愛していたんだけど、天のお殿さまのことを一等愛していたのだ…。
捨之介に無界のを「いい町」と言われて、「いい町?」って返すし、極楽太夫に「あなたが思っているより、あなたは周りのことを思ってますよ」と言われても「自分でわかってない」って言う。この人が注いだ愛情はあんなに確かなのに無意識なんだなぁ。
「殺す…殺す…」って天魔王に言うのはめちゃくちゃびっくりした。
カーテンコールで太夫と仲良くしたり霧ちゃんを構いに行ったり、捨天とわちゃわちゃしてニコニコしてるのひどいですよね。はーずるいひどい最低の男だ。すき。
廣瀬さんの蘭兵衛がカーテンコールで彼岸花畑にいるところが本当に見たかった。私は彼岸花畑の亡霊になってしまった。あれって、物理的に言うと、無界屋の美術が拡張したからですか?関東荒野にお花を設置していたのはわかった。いつも、贋鉄ルームのとなりが花畑だったはず。
🌘霧丸(松岡広大さん)
怒りの感情が先行する幼さはあるけど頭がいい。なによりきちんと自分で見定めて、一歩も二歩も十歩も進んで成長した強さで捨之介を殴って引っ張ってくれた。このチームで一番強さを見せてくれたキャラクターだと思います。
渡京のお芝居にのる霧ちゃんの棒演技かわいい。
めちゃくちゃ動けるツヨイ。
実際に若いのですが、見た目がめちゃくちゃ少年だから、大人なマモ捨とのそのバランスな…。
🌘極楽太夫(羽野晶紀さん)
かわいすぎないか…?めちゃくちゃ可憐じゃないか。さすが初演オリジナル極楽太夫…。27年前に演じた役をまた演じてくれるなんてありがたすぎません…?
こと切れた蘭兵衛の手をとって、一生懸命に拭ってあげている姿がたまらなくて。「どれだけ血で汚れても、洗い流せばいい」と蘭兵衛に言った太夫が去ったあとで「俺の三途の川は血まみれなんだ」と言う蘭兵衛。血だらけの手を拭うのは、あの場面のアンサーになっているんですよね…。太夫の涙で洗ったあんたの手はきっときれいだから、迷わずに逝けよ…。
太夫はちゃんと蘭兵衛の純真と修羅をわかっていて、蘭兵衛をかわいがっていたと思う。
捨之介が天魔王を倒し、天魔王が城から身を投げたあとに、迫り来る豊富軍を前に、自暴自棄になった捨之介が自分がおとりになると言い出すのに、太夫は「ここまで迎えに来た霧丸の気持ち、無駄にしちゃいけないよ」と言うじゃないですか、聞いてる?太夫の気持ちを踏みにじった蘭兵衛さん。ところで先の部分を書きながら、捨之介という人は、天魔王を止めると言いながら、刺し違えるくらいで上等だと思っていそうだし、仲間のために死にたいと囮をかって出るし、最後には、これからの世の中のためになら、自分のその首を天魔王として家康に差し出すと言う。大義名分のもとなんとか死にたい死にたがりかよ。
話はそれましたが、羽野太夫の竜胆轟雷筒(漢字がわかりません)はなんでストラップがついてないのでしょうか?
🌘兵庫(木村了さん)
100点満点~!!羽野太夫に木村兵庫だいせいかーい!!羽野太夫は蘭兵衛さんとは恋仲だったのか微妙だなと思っているのですが、兵庫とはどうぞお幸せに。大丈夫、絶対にうまくいきます…。
本当に絶妙にペースメイクしてくれていた。
顔は格好いいけど馬鹿でアツくてまっすぐな完璧に理想の兵庫。
お声がマイルドだからかなぁ。まったり、しかし、さらっとしていてかっこよかったな伊達渡京さん。
これまでの髑髏城の公演において「裏切り」は劇団員の河野さんと粟根さんで回してきたということですが、とても軽やかですてきな裏切りでした…。松岡霧ちゃんがシュッとしてるから、伊達渡京さんとのバランスがいいなと思いました。
🌘狸穴二郎衛門(千葉哲也さん)
殿かっこいい。
赤ら顔メイクをしていても滲み出る渋さ。
無界屋襲撃の時、太夫に「あんたらみんな一緒だ!!」と非難された後、好いた女の子の亡骸に近寄らず、ただ頭を下げて成仏してくれと祈ることしかしないのは痺れた。他の公演ではもっと近くに寄って成仏しろよ、と言ったりするはず。この人は自分の業をわかっているのだろうなぁと思いました。
🌘贋鉄斎(中村まことさん)
イヤッイャッィヤアー!!!
マモ捨が結構自由にやるので楽しそうないつものガンテツルームでした。笑っちゃう。
花・鳥・風と順番に見て髑髏城に対する理解を深めてからの月。かつ現場にいったので、月に思い入れがあるんだろうな。という文章量になってしまいますね…。
おまけに極とワカのこと。
Season極「修羅天魔」
新作ありがとうございます!楽しみー!
捨之介と蘭兵衛のいない、完全新作の髏城の七人ということでしたが、あらすじを読むと、まぁ…捨之介も蘭兵衛も全部、極楽太夫に乗っけたんですね、全部盛りの天海祐希さんじゃないか…という感じですね?
正直、極のキャスト発表まで、絶対にないだろうとは思いつつ森田剛さんの出演をきちんと(?)期待していました。
でも、天海祐希さんの誕生半世紀祝い公演じゃ仕方ない…太刀打ちできるはずがない…。古田さんもゆりちゃん(天海さん)が綺麗に見えればいい、みたいなことを言ってたから、天海祐希さんのための新しい髑髏城の七人になるんだろう。めちゃくちゃ楽しみ。
ところで新キャラクター無界屋の夢三郎くんきれいすぎでは…?もうだめでは…?
極楽太夫(天海祐希さん)
天魔王(古田新太さん)
兵庫(福士誠治さん)
夢三郎(竜星涼さん)
沙霧(清水くるみさん)
カンテツ(三宅弘城さん)
狸穴二郎衛門(山本亨さん)
ぜん三(梶原善さん)
ワカドクロ
月のために遠征・上京したその日のゲキ×シネがちょうどワカドクロだったので、下弦の月のマチネを見た後に映画館に行ってしまいました…。
ステージアラウンドシアター以外での髑髏城を見たことがないので、マワラナイドクロが逆にめちゃくちゃ新鮮。
「死に向かっていた」といのうえさんがお話されているのはどこかで見ていたのですが、なるほどこれはものすごい死臭…。
2008年IZO、2009年リチャード三世、2012年シレンとラギ、2013年鉈切り丸と、だいたいシリアスで退廃的ないのうえさんを通っていたのでなんとなく、うん、あーなるほど、ワカドクロは2011年か…。
絶望的に死のベクトルに傾いていて、めちゃくちゃ好きな髑髏城の七人には違いないけど、そう何度も見れないだろうなという気がします。マチソワしたら立ち上がれないかも。
以下役者さんについて
💀捨之介(小栗旬さん)
花を先に見ているので、痛々しさとやるせなさがすごかった!
捨之介は殿への思いの果てに、死ねなくて、一人残されてしまった。天魔王と蘭兵衛はそれぞれがそれぞれな思う殿に殉じたような結果になったのに。
最後に沙霧が捨之介に「あんたの新しい名前にぴったりの城をつくる!」「もう決めたんだ!」というような沙霧と捨之介の新しい旅立ちを感じさせることを言うのですが、この舞台に漂う圧倒的な闇のせいで、拭えないほの暗さ。お前頼むから沙霧に骨のない墓を建てさせないでくれよ…と思ってしまいました。
💀天魔王(森山未來さん)
この人の溢れるカリスマ性は底なし…。存在感がありすぎる。
鳥天さんはぶっ飛んでいた分だけいくらかマイルドでしたが、ワカ天さんはただこわいです。
気まぐれ、嘘つき…うーん、もしかしたら子供っぽいのかもしれない?だからこわいのかな。
いや、しかし子供っぽいとしたら。上弦天さん…ウッ…やめておきます。
💀無界屋蘭兵衛(早乙女太一さん)
こりゃやべー。全部を拒絶している。外界からの断絶だ。
しかしこの頃、早乙女太一(19)なことがめちゃくちゃおそろしい。もう二度と見れない、この時だからこそのはりつめた蘭兵衛さん。
首から下げてる数珠が殿の遺骨でできているなんて初耳ですー。勘弁してくださいまし。
ワカドクロは天魔王と蘭兵衛があまりにも鮮烈に死に向かいすぎている。
💀沙霧(仲里依紗さん)
ほどほどに下品な感じとかわいらしい感じがよかったなあ!
一人で髑髏城に向かう蘭兵衛を追いかけて行って、夢見酒でおちてしまった蘭兵衛を背景に、天魔王に殴る蹴るされてしまう沙霧、めちゃくちゃしんどかった…なぜだろう。花鳥風月のどれより一番しんどかった…嫌悪感が。
💀極楽太夫(小池栄子さん)
チャーミングだったなぁ!健康的なセクシーさ、美しさ、かわいらしさ。
髑髏城に乗り込んでからの太夫の見せ場は、花鳥風月で削られていたのでしょうか?胸に銃を仕込んでる栄子太夫かっこいいー!
💀兵庫(勝地涼さん)
百人斬りギリィッ
小栗旬さんと勝地涼さんの二人に、二人で百人斬りさせるのめちゃくちゃズルくないですか!?かっこいいに決まってるのに!!
💀贋鉄斎(高田聖子さん)
天魔王「お前がを名乗るか」
贋鉄斎「あんたが天魔王を名乗るならね」
みたいなやり取りが最高でしたね。
髑髏城の七人という作品は、登場人物のほとんどが名前を偽ったり縁を捨てたり本当の立場を隠したり過去を埋めたりしていて、劇中でなにかを取り戻したりつかみそこねたりするのですが、旦那さんの名前を継いだこの贋鉄斎の在り方はすごく真っ当。
いや~ほっとする!
ほっとするけど、三五と渡京ってこの世界線は何回目?みたいなおそろしさがあるなと思いました!あまりにも普通にいつもの感じで存在してくれちゃっているので。
💀狸穴二郎衛門(千葉哲也さん)
渋すぎないか?
ワカドクロに立ちこめる死と闇のせいで狸穴のおじさまもシリアスに振ってるし、悪そう…。
下弦の後にワカを見たのですが、役へのアプローチに違いがありすぎてびっくりしました。
正直、押しが髑髏城の七人に出演している人がうらやましい。
この髑髏城イヤーにおいて、こんな素敵な舞台が見れてめちゃくちゃ楽しいありがたいという感情の他に、うらやましいという思いがずっとあります。
押しに無界屋蘭兵衛を演じてほしい。だけど無界屋蘭兵衛を演じてほしい押しは不在。どんな複雑な感情なの。
なんでこんなに好きになってしまったのだろうか。
というか髑髏城元年がこんなに恵まれている髑髏城新規はこのあと生きていけるのだろうか。
明日はどっちだ。